太古の昔、私が都内の某百貨店に勤めてたときのこと。
あんまり昔過ぎて、もう記憶違いな部分が多少あるかもしれないですが。
ある日。
某セーターメーカーのマネキン(派遣販売員さんです)のおばちゃんが血相を変えて私のほうへすっ飛んできました。
このおばちゃんにはよく、「正装して歌っているウルトラマンの絵」を描いてあげてたんですが。
おば「ちょっとさまちゃん(仮名)大変なのよ!!」
私「はあ何が?」
おば「
少年ケニヤの山川ワタル少年が来てるのよ!!」
おばちゃんの気迫にたじろぎつつ、そのワタル少年が来ているというレジ前に行ってみた。
(あたしゃワタルというとリカちゃんの男しか知らんけど)
…うーん。
そこには、少年つーか、青年と中年の中間の見慣れぬ男のヒトが来ていました。
そのワタル少年らしきヒトは、整った感じの容姿ですが普通にメーカーの営業さんという雰囲気の方です。服もネクタイにツイードのジャケットという、普通にアパレルメーカー営業スタイルだったような。
ほんとに普通、ちょっとイケメン、みたいな。
大変失礼ながら、当時の若かった私の目には普通にちょっとオジサン、に見えた…。
でも、売り場のオバちゃんたちが遠巻きに眺めながら、
「やっぱり今でも目元に面影があるわねえ~(うっとり)」なんてささやきあってます。
おばちゃんたちの熱めの視線に気づいたワタル少年は、売り場係長と話したりしながらもチラリとこちらを見て、ちょっとテレ(というかハズカシイ)ておられる。気取りがなく、とてもとてもいい人とお見受けしました。きっとモテたんだろうなあ。
なんでもこのワタルさんは、その時点ではもう俳優ではなく、某という婦人服メーカーの営業さんで、本来の担当店は日本橋のT百貨店などであると聞いたように記憶。
同僚であるウチの担当の営業さんと仲良しで、その日はちょっと連れ立って一緒に挨拶に来ましたということだったようです。
…うーん!
ワタル少年は大変に成績の良い営業さんだったのだと思うです。当時の日本橋T百貨店といえば、ミセス服メーカーとしてはどこも頂点の主戦場扱いで、もちろん売り上げも他店とはケタ違いです。商品も売れ筋が優先的に、どんどん送られていくようなところです。
いやしかし。
実はさすがの私でも少年ケニヤほど古いモンは見たこと無いもんで、おばちゃんたちのようにはしゃげなかったのが残念だったですよ。
で。
その後、懐かしのTV番組を紹介する番組「
テレビ探偵団」で、このワタル少年さんがスタジオに呼ばれているのを見ましたよ。別の、朝やってたワイドショーか何かにも同様にゲストされたかと思う。
80年代後半頃の、懐かしの番組特集がちょっとブームになった時期でしたかねえ…。
そのときに番組内でインタビューを受けたワタルさんご自身が「婦人服メーカーに勤務」とおっしゃってたこともあり、こうしてわりと具体的な目撃談を書いております。
(記憶違いかもしれないけど、たしかその後、このメーカーを退社されたのではなかったかと思う…違ってたらすみません)
百貨店つーのは、有名人・芸能人のお客さんはかなり来るんですが、それでもこのワタル少年さんほどおばちゃんたちが白熱した人はいなかったです。
まあお客さんではなく営業さんだったからかもしれないけど…でも、私もそうなんだけど、子供の頃に見てた番組のヒーローには、いくつになっても格別な思い入れを持ち続けるものだよねえ。
口うつしにメルヘンください~(角川)、ってことで今回はおしまい。
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