相次ぐ訃報。
またしても太古の昔の話で恐縮。
友人とど貧乏旅行を展開していた時のことです。
ニューヨークで、ホテルエジソンというしけた宿に泊まりました。いや、老舗ですので、こんな古臭くて小狭い部屋でもけっこう取られて泣きそうでしたが、メンフィスのようなど田舎と違って都会なので狭くて高いは当然だし、安全面考えると仕方ないかと思って。
ちなみにこのホテルの劇場では、当時、
出演者全員が全裸で踊るミュージカルとして名高かった「オー・カルカッタ!」がロングラン上演されてました。日本人ツアー客が大勢見に来るということで、このホテル自体が、日本の大手ツアー客が大勢泊まっておりました。…ロビーですれ違った20代の日本人女子たちが「ねえ、オー・カルカッタって絶対見なきゃだめなの?」なんて語ってたけど、察するところ、見たくないのに日程にばっちし組まれてたのだな…。
(日本人中年男性ツアー客には大人気だったらしい)
前置きがやたら長いけど、基本的に昔話ブログなので許してねん。
で、夜になって、ホテルのすぐ近所にある大きめなビデオ屋に入りました。
当時はamazonも無いし、日本未発売ビデオなんてカタログさえもなかったから、マイナー映画のビデオなんてあるかどうかもわからず、自分の足で探すしかなかったんだよ。そのビデオ屋は2階建てになってて、さすがの物量。ドアを開けた途端、スゲー!と目が輝いた我々。
しかも2階からハンモックみたいのに載せて、大量のビデオを降ろしている最中。
しかし。
その2階へ上がろうにも、階段前に立っている五部刈りの日本人らしき男の客が敵意むき出しみたいな顔して我々を睨んでいるではないの。
何か私ら悪いことしましたか。たしかにものすごいきったねえ服着て髪の毛ボーボーでしたけど、臭くはなかったはずだ。何もそこまで睨まなくても。
わし「なんか怒ってるみたいよ?」
友人「…あの人知ってる、たぶんTV出てるわ」
わし「知らんわ」
そして。
店のガードマンと共に2階から、水色のウインドブレーカー(失礼ながら、オシャレではなく雨の日に原チャリに乗るときに着るような)の上下を着た地黒で小太りの日本人のおじさんが降りてくるではないの。
それは誰あろう、マイク某氏である。
五部刈り氏はマイク某氏の一番弟子(弟子じゃないかも
♥)の某氏であったと後日わかった。
多分五部刈り氏は「有名人見て騒ぐような
バカっぽい奴らが来ちまったぜまじムカツクサイテー!」という心境であったのだろう。
いや、騒ぎませんけど…でももしエドワード・ジェームズ・オルモスがいたら嬉しくて絶叫したけどさ。マイク某氏は我々を見つけると、100本はあろうかというお買い上げビデオ(ハンモックで降ろしてたやつ)を前に、「
いや~、またたくさん買っちゃったな~、ははっ」と、五部刈り氏と師弟関係とは思えんようなフランクリースマイリングを向けてくれた。
余裕あるなあ。
きっと、ビデオ全部自分で選んだんだろうなあ。
さすがスゲーなあ。
でもその隣で五部刈り氏が相変わらずゴリゴリ睨んでるから、へへえ…と気の抜けた笑みを返すだけの我々でしたけどね。
その後、日本に帰ってからTV見てたら、マイク某氏が「いや~、私先日アメリカに行ってきましてね…」と、最新ハリウッド情報みたいのを解説の最後にチラッと語っておられました。
私は、そうなんだよ、映画ビデオすげーいっぱい買ってたよ、と家族に話したけど、あんまり反応してもらえませんでした。
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ちなみにマイク某氏、解説者として都内に事務所持ってからもしばらくは千葉県船橋市の前原団地に住んでました。
地域の情報誌でも「前原団地在住」として、しっかりインタビューをうけておられました。昔のロードショーなんかに載ってたファンレターのあて先もそこだったなあ。
船橋も映画もお好きだったのでしょうなあ。
ご冥福をお祈りいたします。
(五部刈り氏の睨みが怖かったので仮名にしましたが、他意はございません)
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