歳がばれるが、隠してもばれるしどうせ頭の程度は幼稚だからいいかと思って。
1970年頃、「ガードドッグ」という子供向けドラマがやっていた。
しかし、すすめ~ガードドーッグ♪と、「史上最大の作戦」のマーチに似てるようなふしのテーマ曲もそこしか覚えてないし(いや、全部覚える前に番組終わっちゃったし)、大体どんな話だったかも覚えてない。たしか、20代くらいのお兄さんとお姉さんが出てきて、そいつらが正義の味方みたいだった。で、警察じゃないんだけど、犬と一緒に捜査かなんかやっちゃうわけだ。
肌色で毛の短い大きな犬が何匹も出てきて、そのワンワンたちがみんな賢いのなんのって。塀なんか飛び越えちゃったり、人が入れない所に入って行ってクチでロープなんかほどいちゃったり。でも犯人の手をガウガウかじったりって乱暴なことはしなかったと思う。
さすがに私でもそれしか覚えてないわけですが、毎回楽しみにしてたんである。人より犬の活躍が印象に残ってるなあ。
1970年のそんなある日。仲の良かったO君が「ガードドッグの犬を見に行こう」とさそってきた。深く考えずに、もちろんその日のうちに計画実行。O君宅のすぐ側には当時カレーのCMに出てた兄弟も住んでたし、「昨日テレビに出てた××の家って、あそこなんだぜ」みたいな話はあの辺ではよくあったから、別に疑いもしなかった。
多分、私の家から、子供の足で10~20分くらいの所だったと思う。そんな長距離の移動は遠足なみの大冒険だ。(当時歩幅の狭いチビでしたから、普段は行動半径300メートル程度だった)
しかもOの野郎は自転車で、私は歩きだ。
頭のあまり良くないO君が、塀の高い住宅街をあっちこっち曲がって、迷いもせずに進んでいくのは正直驚いた。前に別の子たちと来たんだそうであるが。
そして目的の家に到着。家と言っても、普通の家ではなかったと思う。お店?事務所?? なにしろ、道路に沿って、金網を張った犬小屋が長屋みたいにならんでて、そこではしゃいでワンワン吠えてるのはあの「ガードドッグ」たちじゃありませんか。
しかも、ガードドッグの写真がはいったステッカー(”ガードドッグ 日本テレビ”とかかいてあった)が何枚も貼ってある。うわーテレビで見たのと同じ犬だー、こりゃすごいわー、ほんとにガードドッグだー。でも金網こまかすぎて触れませんー。
しかしまずいことに。
いかにも小学校4年生以上が乗るような男子向きのピカピカの自転車が何台も止めてあって、しかもみんなガードドッグのステッカーがハンドルに貼ってある。つまり、なんか怖そうな知らない年長の、尚且つこの家の常連たちが先客として中にいるのだ。そんな中に、どうやってこのチビ2匹が入っていけようか。
「いつもは中にいる犬と遊ばせてもらえるんだけど、大勢きちゃってるみたい…」
O君は、自転車にまたがったまましょんぼりムード。黒く塗ってもらった誰かのお古が彼の愛車だ。
家の中からは、知らない男子たちの声と、犬たちとおじさんの声がする。大いに盛り上がってる雰囲気。どんな作りになっているのか、覗くのも怖い。
仕方なく、金網越しの犬たちに見送られて、また20分歩いて帰ることにした。
あーあ、犬にさわりたかったなあ、あのステッカーだけでも欲しかったなあ、また来ようね、トボトボ、って感じだった。でも帰り道もやっぱり迷わなかった。
しかしそれ以降なぜか二度と行かなかった。
多分、番組も終わっちゃって、単にすっかり忘れちゃったんではないかと思う。子供なんてそんなもんさ。
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…と、ここまで書いてから、ネットで調べて分かった驚愕の事実。
(2につづく) [6回]
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